ルーヴル-DNPミュージアムラボに行ってきました

先日、ちょっとした繋がりで、五反田にある大日本印刷さんへお邪魔しました。
今、DNPさんでは、ルーヴル-DNPラボを開催していて、それを見させていただきました。

このルーヴル-DNPラボというのは、美術館にある展示品の、新しい形の展示方法を試しているラボです。
従来、美術館というのは、本物の展示品を展示する事だけをしていましたが、絵画の情報を詳細にスキャンして、タッチスクリーンの画面に写しだし、タッチすると絵が拡大される等の展示を行い、絵の本物のイメージを提供すると同時に、本物の展示では提供できない、情報等を観覧者に提供するという方法を実験しているラボになります。

ここでは、映像などの実験だけでなく、少しですが、本物の展示品もあります。
私が行ったときは、「エジプトに生きた女性達の肖像」がテーマでした。

展示品は、かなり後期のエジプトの時代の出土品で、いわゆる板絵です。
元々は、ツタンカーメンのお面と同様のもので、ミイラを覆っていた物だそうです。

ただ、時代も進んでいて、死者を肖像画で表現している物です。
この表現方法が、その頃エジプトを支配していた、ローマ文化の影響を受けているため、我々がイメージしているエジプトの絵よりも、人物の描写がリアルになっています。

私は、今までミイラと言えばツタンカーメンしか知らなかったので、ミイラの覆い方に変遷があったことも初めて知りました。加えて、死者の生前の肖像画を描いた板絵に、ローマ文化の影響を受けた絵が描いてあるなんて、このミイラを作るというエジプトの文化と、ローマの文化の融合が埋葬の方法という部分にまで影響を与えているという、本当に歴史の壮大さという様な物を感じました。


本物の板絵は、3枚ですが、これをテーマに以下のような実験的展示がありました。

1.板絵の展示方法
180枚の板絵の画像を18枚づつ大きな画面に表示して、一定の時間ごとに入れ替えて表示します。
これだけいうと大したことはないのですが、2つの工夫がありました。
1)人が画面に近づくと、正面の板絵が大きく表示される。
2)表示システムは、安価なプロジェクターを数台組み合わせて構成しているので、従来よりも安くシステムが組める。


2.板絵の拡大展示
これは、先に述べた展示方法です。板絵は、デリケートなので、もちろんさわることは出来ませんし、湿度管理していないと板が反ってくるために、近づいて見ることも出来ません。従って、絵の情報をさわって、拡大してみられると、新たな情報提供の可能性が出てくるのではないでしょうか。


3.机をタッチパネルとして使う方法
なんと表現して良いのか、分からなかったのでこのような表現になってしまいました。
これは、机の上に画像を投影しておいて、その投影した画像を指で指すと、それに反応して、色々な情報を表示するという仕組みです。
どうなっているかというと、机の上に投影用以外に、カメラと、赤外線センサーをつけてあるので、赤外線のセンサーで指の動きを追い、指先と画像が交差したところで別の情報を表示させています。
この仕組みは、机でなくても、画像を写すことが出来れば、色々な情報を提供することが出来るので、面白い試みだと思いました。

このほかにも後2つほど展示があり、本物の数は少ないですが、なかなか面白い内容でした。


直接、印刷という事には関係はない展示方法ですが、下手にデパートの展示に行くよりは充実していると思います。

この展示は、事前に予約が必要ですが、一般公開もしていますので、興味がある方は、一度いってみては如何でしょうか。