恐れるな! イビチャ・オシム

ワールドカップ後に元日本代表監督オシム氏が書いた本です。

前作同様、訳が上手からなのか、彼の語り口がよく出ている本です。

彼の独特の視点から、今回のワールドカップにおける、日本代表の戦果の分析と今後の課題を述べています。

私なりのポイントは、以下のとおりです。

  1. 何が足りなかったのか。
  2. 今後の課題は?
    1. スピードがない
    2. 観客も厳しく試合を見る
    3. 選手たちはハングリー精神を持て!


1.何が足りなかったのか
日本代表は、リスクをとらなかったと述べられています。これを読むと多くの人は「え?!あんなに積極的にプレイしてたじゃん?」と思うと思います。私もそう思いました。
ただ、細かい部分でもっと積極的にプレイできたはずだ、すべきだったと述べられています。
一つ例をあげると、私は本田選手が攻守にわたりボールに絡んで、すごく積極的にプレイしていたと思っていましたが、実は彼がそこまでしなければいけない状況に追い込まれていたということです。
本来ならば、もっと彼を助けるために、フリーにするために他の選手が動くべきだったと書かれています。

確かに、今回の日本代表はとても積極的にプレーしていたと思いますが、それは今までの日本代表との比較であって、世界レベルからしたらまだまだであり、積極性の度合いや、それをコンスタントに発揮が出来るかという点ではもっと改善する余地があるということなんだろうと思います。


2.今後の課題
(1)スピードが無い
一般に日本選手を世界レベルの選手と比較するときに、スピードがよく話題に登ります。
スピードといった場合、①プレーのスピード、②考えるスピード、③ランニングのスピードの3つのスピードがあり、日本人選手は、②が弱いようです。
これは仕事でも同じことで、プレッシャーの中でも的確に判断できるように訓練されていないと、なかなか向上しないものです。
一方で、訓練で向上していくので、考えるスピードを上げていけば、世界に近づけるのではないでしょうか。

(2)観客も厳しく試合を見る
本では、観客の姿勢についても言及しています。
前から言われていることですが、観客も前向きではあるものの、厳しい目でJリーグの試合を見ていくことで、選手にもプレッシャーをかけ、プレイの質を高くしていくとを要求してく必要があるんだと思います。
野球は、比較的そういった環境できたので、WBCでも2連覇を達成できるレベルにまで向上しているんだと考えられます。
サッカーでも見る側も、野球と同じような厳しい姿勢で望んでいくことで、日本サッカーのレベルアップに貢献できるような気がします。

(3)選手たちはハングリー精神を持て!
本では、特に大久保選手、中村俊輔の海外へのチャレンジを勧めていましたが、他の選手についても同様だと思います。
ただオシム氏は、大久保選手や中村選手に大きく期待をしていて、中村選手の代表引退を惜しんでいました。

これらのことを始め、一つ一つ課題をクリアしていって、次回のワールドカップではベスト4をとってもらいたいと思います。